認知行動療法


まず最初にスキーマというものからお話しましょう。
認知療法は『スキーマ』というものを、とても重要視しています。
これは、その人が生まれてから今迄に身につけた『思考の枠組み』の事で、例えば『信念』のような感じと考えるとわかりやすいと思います。
そして、認知療法でいう自動思考というのは、この『その人のスキーマ』から発せられる心のつぶやきのようなものを言います。

ちょっと例を挙げてみましょうか。

A君は今週の土曜日、前々から付き合いたいと思っている、今は単なる友達のB子さんを映画に誘おうと思い、メールを出しました。

するとB子さんから、こんな返信が…。

『今度の土曜日はちょっと他の友達から食事に誘われているからごめんね。来週ならOKだよ』

さて貴方がA君なら、この返信メールを見た瞬間、どのような【感情】が起きるでしょうか?

…ガックリします?

…「やった~!」 と喜びます?

…それとも?

ここで、まず第一の問題は、この返信メールの文のどこに重きを置いて受け取るか、という事です。
『他の友達から食事に誘われているから、ごめんね。』 にウェイトを置いて受け取った人は、「あかん (T_T)」とガックリするでしょうし、『来週ならOKだよ』 にウェイトを置いて受け取った人は「やった~!」 となるでしょう。

この【受け取り方】こそが、【その人のスキーマ】なんです。
そして「あかん (T_T)」という心のつぶやきを自動思考と言うのです。
受け取ったのは同じ言葉なのに、人によって受け取り方が違い、しかもその後の行動に影響を及ぼすんですね。
例えば、『他の友達から食事に誘われているから』という『他の友達』を、他の男性と思い込んだりしてしまい、暗くなってしまったりする場合もあるでしょう。
そして、そういうネガティヴな考えは、やがて『やっぱり彼女と恋人関係になるなんて、無理だったんだ』と進んでいくかもしれません。

まぁ、そこまでは無いだろうとは思いますが、ここまで極端ではないにしろ、意外と人間が悪循環にはまる時って、こういうのが発端だったりするんですね。

さて、この咄嗟に浮かぶ【自動思考】、もしくは【スキーマ】を検証しようというのが、認知療法です。
つまり、
【出来事】 → 【認知】 → 【感情、行動】
という流れの【認知】の部分が適正かどうかをチェックするという事です。

上記の例だと、
【返信メール】 → 【認知】 → 【ガックリする】
という流れの中で、返信メールを見て咄嗟に浮かんだ心の思いが適正かどうか、という事ですね。

この場合、ガックリしたというのは、A君のデートの申し出は『断られた』と認知したということでしょう。
でも、これは明らかに適正な認知とは言えません。

例えば、B子さんの友達は『女性の親友』で、しかも食事の約束はかなり前にしてあり、レストランの予約も取っていたとしたら…。
A君の突然の土曜日の誘いは断るのが当たり前ですよね。
その場合は返ってA君に対し、とても好意的に書かれた文となってしまいます。
その辺の詳しいところはB子さんしか知らず、A君が勝手にガックリする事は百害有って一利無しですよね。

このように人間は『言葉(刺激)』を、それぞれその人独自のフレーム(スキーマ)で受け取り、そして【自動思考】を経た後に【感情、行動】へと移っていきます。

だから、ひょっとしたら我々は
『勝手に受け取り』
『勝手に思いを浮かべ』
『勝手に辛い感情を抱き』
『勝手に悲しい思い出をつくっている』
かもしれないのです。

認知療法や論理療法では、悩みを色々な方法を使って対処しようとしますが、一番のポイントは、この最初の段階の【咄嗟に浮かぶ思い】のチェックです。
でも、この咄嗟に浮かぶ思いが歪んでいた場合は、スキーマも歪んでいる場合が殆どです。
という事は、適正ではない【思い込み】をするスキーマ、つまり【クセ】が問題なんですね。
この【クセ】の代表的なものに
・~べき主義(~すべき ~であらねばならぬ)
・完全主義(物事をオール・オア・ナッシングで考えてしまっていないか)
・過度の一般化(一つの事を全てにあてはめる「いつも」「みんな」等)
などがあります。

これらに【ツッコミ】を入れ、合理的ではないスキーマを修正すれば、その後に起こる感情や行動も良い方に変化していきます。

もっとも実際には、「頭ではわかっても、なかなかねぇ」という場合が多いので、認知だけではなく行動にも変化をさせようと宿題を出していく場合も多いんですね。
慣れ親しんだ習慣を変えるというのは、本当に大変ですから。

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